溺愛は蜜夜に始まる~御曹司と仮初め情欲婚~

白石ホテルがフランスのリゾートホテルを買収して現地での運営を始めているのは知っていたが、マリュス家がその後押しをしていたとは初耳で驚いた。
それにしても、彩実を知れば知るほど白石家の嫁としてふさわしく文句のつけようのない女性だとわかる。
そして、そんな女性でなければ白石家の嫁として認めてもらえないのだろうと、改めて感じた。

「このワイン、口に合ったか?」

顔もよく知らない彩実についてあれこれ考え落ち込んでいた梨乃は、侑斗の声にハッと視線をあげた。

「あ、はい。甘みが強いような気がしたんですけど、とてもおいしいです」
「だよな。これ、天然の糖分がワインの中に残るように作られていて、チョコレートとの相性が抜群だと言われてる」
「チョコレートと、ですか」

梨乃はソムリエが満たしてくれたワイングラスを手に取り、ワインと侑斗を交互に見る。
甘みの強さは今日のメイン料理である牛肉のステーキによく合うと思っていたが、言われてみれば、たしかにチョコレートにも合うかもしれない。