溺愛は蜜夜に始まる~御曹司と仮初め情欲婚~

どれも簡単すぎて侑斗の役にたっているのかどうか自信はないが、それが梨乃と翔矢を気にかけてくれている侑斗への少なからずの恩返しになれば、と思っている。
連日、侑斗は当然のように自宅で深夜まで仕事をし、分厚い海外の書籍や難しい専門用語満載の雑誌を広げていることもある。
侑斗は梨乃に仕事に関して現場側の意見を聞いてくることもあるが、それに答える梨乃の言葉にも素直に耳を傾け、決して自分の意見を押し付けようとしない聞き上手だ。
そして、社長である諒太のバックアップという自分の役割をわきまえ、一歩下がって冷静に仕事を進めている。
それらはすべて、白石ホテルへの愛情が強いからこそだ。
同じ白石家の人間だというのに、諒太が白石ホテルのトップに立ち、侑斗はそのサポートに甘んじている。
ホテル内にはそんな侑斗の立場に同情する者もいれば、彼自身チャンスがあれば諒太にとって代わろうと画策しているのではないかという噂がないわけではない。
過去には梨乃もそんな根拠のない噂を耳にしたことがあるが、単なるいち社員の自分にはまるで遠い世界の話だった。