天使なんかじゃない!年下男子の甘い誘惑


「ひどなぁ――先輩。なら、俺が勝ったら⋯⋯もらってもいいですか?」


顎に触れてた指先が唇へと移動した。

それをやわやわと撫でられると、そのいかがわしい手付きに背中がゾクゾクっとする。


「っ!」


ぴくりと肩を上げた私に、君嶋が「フッ」と微笑む。

な、なによ⋯⋯。

年上をからかって⋯⋯!

女も空手もチョロいとか思ってバカにしてるんでしょ――!

頭に来た私は優しく微笑んだ。


「いいわよ、ならやってみる? 手加減しないけど」


もちろん、ぶっ飛ばすわよ。


「そうこなくっちゃ」


心なしか大人しい光太くんが気になるけど、私の頭の中は、もう子犬に制裁を下すことしか考えていなかった。