平常を貼り付け笑みを浮かべたところで、包まれていた手が引かれて口元に運ばれた。
「次、勝負に勝ったら、何をもらおうかな?」
ちゅ。
ジェルネイルを施してある私の指先にキスが落ちる。
含みのある上目遣いは、きっと⋯⋯
ハマったら火傷する。
「それはそれは……負けるわけには行かなそうね」
負けじと笑みを浮かべて応戦する。
次の勝負は、おそらく危険だ。
この美しさの裏に隠された影が、度々チラつく。
それが少しだけ気になりつつも、年相応にランチを食べはじめた子犬を黙って眺めていた。
ホントを言えば、振り回されるのは好きではない。
でも――
アイスコーヒーが無くなるまでは、ここにいてもいいかしら。
そんならしくない事を考えていたのだった。
――END――



