翌日のこと―――
昼休みに、お気に入りのカフェでランチタイムをしていたら、ベージュのスーツが相席に滑り込んできた。
「ひとりでランチなんてしてると、ナンパされますよ」
君嶋圭太⋯⋯。現れたわね。
輝かしい太陽の光が、この男からさらに色素を奪う。
大きなうるうるした瞳を細めた子犬の天使⋯⋯
いや、悪魔の君嶋はチキンバーガーとサラダセットを手に対面に腰を下ろす。
昨日のことを思えば、ものすごくぶっ飛ばしたいけど、お気に入りのカフェのテラス席でランチをしてる私はすこぶる機嫌がいい。
まぁ、昨日の師範代の踵落としは効いたけど。
アイスコーヒーを飲みながら相席を許した。
「ナンパされても、自分で追い払えるから大丈夫よ」
「それもそっすね。俺には負けちゃったけど」
嫌な奴。頬杖をついてこちらを見る視線も、何だか少し意地悪。
やっぱりこいつは『天使なんかじゃない』これが本性だ。
「……よりによって年下の後輩で、しかも…性悪そうな男に負けるなんて屈辱よ」
「いやーそんな褒めないで下さいよ。俺あそこには滅多に行かないんすけど、先輩と会えたから行って良かったなぁー」
性悪が褒め言葉? ほんと、ぶっ飛ばせたら良かったのに⋯⋯。



