勢いよく振り向くと、彼はビクっとした。
『そんな強くないけど少しやってましたし』と言っていたのは、ものすごく謙虚に言ったようだ。
一見女にも見えなくもない、あの君嶋が?
道着にも着替えもせず、ヘルメットもつけず、おまけにキスまでしたあいつが。
あいつが⋯⋯!?
「あんな礼儀知らずが…チャンピオン?!」
燃えたぎった眼光を彼に送ると、ビク!!と肩があがる。
「い、言おうとしたら、圭太に言うなって言われて………!」
なんなの⋯⋯!!あいつ⋯⋯!!
「ふぅん⋯⋯。でも、そうやって私を陥れようなんて技⋯⋯光太くんも褒められたものではないわね」
そう思えば、凄まじい勢いで腸が煮えくり返る。
「そ、そんなつもりは⋯⋯」
「⋯⋯もう光太くんでいいわ! 代わりに絞める―――――!!」
「な、なんで俺なんだよ―――!!!」
私たちは場内を全力で駆け回った。
逃げ足の早い彼の襟首はなかなか掴めやしない!
「待てぇぇえーーい!」
「た、たすけてーー!!」
無作法にもドタバタと道場をかけていたら、師範の顔を真っ赤にさせたのはすぐのこと。
しかし、私は師範に踵落としをされるまで、光太くん(君嶋)への制裁の手を緩めなかった。



