久々に動揺した私は、柄にもなく顔が赤らみそうになった。
でも何故か主審をしていた光太くんの方が真っ赤になっている。
今になって「一本⋯⋯」と手を上げてるし。
幸いなのは、訓練生は師範の指導に聞き入っていたことだけだ。
見られてたら⋯⋯。そう思うだけでゾッとする。
習い事に来ている子供たちに見せていいものではない。
「んじゃ、俺は帰りますね。先輩また明日。明日から⋯⋯覚悟して下さいね」
麗しい瞳をパチンとウインクして、君嶋はくるりと背を向けた。
古びた引き戸の開閉する音が、妙に私の中に響いてくる。
途端に「はっ!はっ!はっ!」と型を組む定期的な声が、耳に飛び込んできた。
いつも通りの道場にホッとして、気を抜いたら崩れ落ちそう。
なんなの、あの嵐は?
胸を押さえて立ちつくしていた私の横に、いつの間にか申し訳無さそうな光太くんが立っていた。
「あいつ、弟なんだけど。圭太には勝てなくてしょうがねぇよ⋯⋯。あいつジュニアの頃から世界チャンピオンの座逃したことねぇし」
「―――チャンピオン?」



