そして――――――
一瞬だった。
「っ?!」
え⋯⋯?
私の繰り出した拳ははじかれて――…
連続技と上段蹴りの寸止めで一本を取られた私は、
気づいたら、唇を奪われていた。
長い睫毛に縁取られたブラウンの瞳がじっとりこちらを見据え
繊細な指先が力を強く顎を掴み、湿った唇が滑らかに何度か噛み付いた。
君嶋のもう一方の手が、束ねていた髪の間に入り込みスルリと解き放つ。
「っ!」
ヘルメットがコロンと音を立てて落ちる。
そして、開かれた目は唇を重ねながらニヤリと微笑み、反らさない。
直感的に思った。
こいつは―――
天使なんかじゃない。
悪魔だ。



