翌日。
何とかして他のことを無理やり考えようとしたけれど、どうしても昨日の校舎から出てきた彼女のことを忘れられない。
血をかぶった髪の毛、同じ制服、小さめな身長。
頭に思い浮かべれば浮かべるほど、寒気がしてくる。
誰かに話したいけれど、こんな変なことをお母さんには相談しにくいな。
わたしは、スマホを取り出して紬に電話をかけた。
『千草、どうかしたの?』
「紬……。家に行ってもいい? 相談したいことがあるから」
スマホを握り締めながら、わたしはそう聞いた。
『ああ、全然いいよ。親もさっき仕事行ったばかりだからさ』
紬の言葉を聞いて、急に羽でもついたような感じで一気にわたしの心が軽くなった。
「ありがとう。じゃあ、今から準備してそっち行くよ」
『はいはーい』
わたしは電話を終えた後、玄関で靴を履いた。



