なんで死んだはずの彼女が今、わたしの目の前で歩いたり喋ったりしているんだろう。
まさか、やっぱり幽霊?
身体が透けてるのも、幽霊だから?
幽霊なんて、現実にいたの?
「久しぶり」
彼女はか細く高い声で微笑み、そう言ってきた。
「えっ?」
どうして馴れ馴れしいことを言っているんだろう。
わたしと彼女は、友達でもなんでもないのに。
「とぼけなくていいよ、あたし達、仲よかったじゃない」
「ちがっ……」
わたしは、彼女の言っていることを反論しようと、激しく首を横に振った。
「そんな……。あたしと仲良くしたこと、忘れてしまったの?」
悲しそうな顔をさせてしまったけれど、わたしと彼女は何の関わりもない。
だって、彼女は生きていればわたしのお母さんと同い年。
つまり、彼女はわたしのお母さんが高校生の時に亡くなっている、ということ。
彼女はわたしが生まれた頃には、もうとっくに生きていないはずなのだ。
「あたしが死んじゃったから?」
「わたしは違うよ……」
「違わないよ。あたし、忘れてない。あなたのことを」
彼女の言っている意味が分からず、それがとても怖くなり、わたしは回れ右をして全力疾走をした。



