良美さんが消えた後、わたしは夜空を見上げながら家へと帰った。



「ただいまー」



そう言っても、なんの音も声もしない。
まだ、お母さんは家に帰って来てないのね。



「ん?」



わたしと、女の子?
リビングにある机には、制服を着たわたしともう1人の女の子がピースサインをして笑っている写真だった。


けれど、わたしはこんな子と写真を撮った覚えはない。


首を傾げたままでいると、鍵の音がして、



「ただいま、千草」



と言いながらお母さんがやってきた。



「おかえり。ねえお母さん、この写真は何?」



お母さんは写真を見ると、急に悲しそうな表情をした。



「それ、高校時代のお母さんと友達」



「お母さん、わたしが今通ってる高校と同じところに行ってたの?」



びっくりしてしまったわたしが大声で聞くと、お母さんは表情を変えないまま頷いた。



「こっちの千草にそっくりなのが、お母さん。そして隣が……お母さんの亡くなった友達なのよ」



「……亡くなった友達!?」



「いじめに遭っていたの。けれど、これを残して、その子は亡くなって行ったの」



お母さんは、引き出しを開けて古い紙を取り出した。