夏色の初恋を君にあげる(野いちごジュニア文庫版)



「どこにも行かないで俺の隣にいてよ。これからもずっと、その笑顔独り占めさせて」



「ふ、うぅ……」



また泣き出す私の両手を、由良くんがそっと握りしめた。


私を見つめる瞳が真剣な色をたたえる。



「好きです。付き合ってください」



誠実でまっすぐな声が、それることなく届き、胸の中に波紋のように広がった。



由良くんは、いつだって日陰から私を引っ張り出してくれる。


胸を張って君の隣にいられるように、君という太陽を見つめているために、もう下ばっかり見ているのはやめるから。



「よろ、こんで……っ」



ぽろぽろと絶え間なく涙をこぼしていると、由良くんの柔らかい笑い声が聞こえてきて、力強い腕が再び私を抱きしめた。


彼からは、あの夏の日の匂いがした。






Fin