夏色の初恋を君にあげる(野いちごジュニア文庫版)




「ゆ、ら」



「その気持ち、自分だけだと思ってる?」



なにが起きたか分からずにいる私を抱きすくめ、掠れた声で想いを吐き出すように由良くんが囁く。



「え?」



「好きだよ、凛子さん」



「な、に……?」



聞き間違いなんじゃないかって、最初はたった一言が理解できなかった。だって。



「雅は……?」



由良くんには雅がいる。

それなのに私なんかを相手にするわけ――。



「雅ちゃん? なんで凛子さんと俺の問題に雅ちゃんが出てくるの」



「……っ」



それは、あまりに意外な言葉だった。


だって、いつだって私の世界には雅の存在が第一にあったから。



「俺、凛子さんよりずっと、あなたのことが好きだよ」



疑う余地もないまっすぐな声音で言われ、今自分に起こっている現実をようやく受け止められた。



どうしようもなく心が震える。

こんな、こんなことがあってもいいのだろうか。