夏色の初恋を君にあげる(野いちごジュニア文庫版)



由良くんがゆっくりと距離を詰めながら、穏やかに声を紡いでいく。



「勝ちました、今日の試合。俺も2点シュートできた」



「ほんとっ? すごい……! おめでとう!」



とびきりの朗報に感激して目を輝かせていると。



「凛子さんのおかげです。応援してくれて、ミサンガまでくれたから」



不意に、目の前に立った由良くんがこちらに手を伸ばしてきた。


え、と思った次の瞬間には腰に腕が回り、抱きあげられていた。



体が浮き、反応する間もなく腰の高さほどのロッカーの上に乗せられ、由良くんと目線の高さが同じになる。



「由良、くん……?」



心臓が破裂しそうな私の問いかけに、彼は柔らかい笑みを唇に乗せた。


そして、私の耳元に口を寄せ。



「――ありがとう、凛子」



とろけそうなほど甘く、そう囁いた。