胸はチクチク、胃はキリキリと痛む。それでも私は的の前に立って矢をつがえると、何度も弓を引き絞った。それでも、やっぱり矢は的を避けていく。
「……っ、なんであたんないんだろう」
弓道の神様に嫌われてしまったのか、矢は一本、二本、三本と外れていく。
「なんでっ、私……全然ダメだ」
最後の一本を弦につがえていた私は、耐え切れずにその場にしゃがみ込む。声を押し殺して泣いて、それからゆるゆると顔を上げた。
午後六時、空はまだうっすらとした青を残している。昼の太陽に比べたら断然に弱い光なのに、目に涙が滲んでいるからか、余計に眩しく思えた。
数日後の火曜日。弓道部の練習は月、水、金と週に三日しかないため、その練習時間では足らず、私は放課後に弓道場に来ていた。
「自分に負けない、しっかり的を見る」
袴に着替えた私は、練習中に葉山先輩がかけてくれた言葉を復唱する。
『お前ならできる、大丈夫だ』
葉山先輩はそう言ってくれたから、私は長い黒髪を結って気合を入れた。
「私ならできる、大丈夫」
誰もいない弓道場に私の声が響いた、そのとき――。
「早いな、もう来てたのか」
「ひゃあっ」
突然、声をかけられた私は変な悲鳴をあげてしまった。慌てて口元を両手で押さえながら、恐る恐る振り返る。そこには、笑いを堪えているような顔の先輩がいた。
制服姿の先輩は白のシャツに、ベストとお揃いの紺色のネクタイを上までしっかり締めている。同じく紺地のチェックのズボンはシワひとつなく、きっちり着こなしていた。
「悪かった。六実がそこまで驚くとは……思って、なくてだな」
ぴくぴくと痙攣している唇に、震えた声。葉山先輩は私に悪いと思っているのか、口元を手の甲で押さえていた。
「……っ、なんであたんないんだろう」
弓道の神様に嫌われてしまったのか、矢は一本、二本、三本と外れていく。
「なんでっ、私……全然ダメだ」
最後の一本を弦につがえていた私は、耐え切れずにその場にしゃがみ込む。声を押し殺して泣いて、それからゆるゆると顔を上げた。
午後六時、空はまだうっすらとした青を残している。昼の太陽に比べたら断然に弱い光なのに、目に涙が滲んでいるからか、余計に眩しく思えた。
数日後の火曜日。弓道部の練習は月、水、金と週に三日しかないため、その練習時間では足らず、私は放課後に弓道場に来ていた。
「自分に負けない、しっかり的を見る」
袴に着替えた私は、練習中に葉山先輩がかけてくれた言葉を復唱する。
『お前ならできる、大丈夫だ』
葉山先輩はそう言ってくれたから、私は長い黒髪を結って気合を入れた。
「私ならできる、大丈夫」
誰もいない弓道場に私の声が響いた、そのとき――。
「早いな、もう来てたのか」
「ひゃあっ」
突然、声をかけられた私は変な悲鳴をあげてしまった。慌てて口元を両手で押さえながら、恐る恐る振り返る。そこには、笑いを堪えているような顔の先輩がいた。
制服姿の先輩は白のシャツに、ベストとお揃いの紺色のネクタイを上までしっかり締めている。同じく紺地のチェックのズボンはシワひとつなく、きっちり着こなしていた。
「悪かった。六実がそこまで驚くとは……思って、なくてだな」
ぴくぴくと痙攣している唇に、震えた声。葉山先輩は私に悪いと思っているのか、口元を手の甲で押さえていた。


