ずっと、弓月先輩の射形に一目惚れしてたんだと思ってた。でもきっと……中学三年生のとき、赤く染まった紅葉の嵐の中で弓を引く弓月先輩に、私は恋をしていたんだと思う。そう考えると、この学園に高校見学に来たことも、弓道部が休みなのに弓月先輩が自主練習していたことも、私と先輩が恋に落ちたことも、すべてが運命だったように思える。
「楓のひたむきさと、折れない芯の強さから、いつの間にか。俺は目が離せなくなってた」
「うれしいです、ありがとうございます。私のことを好きになってくれて」
心から笑うと、弓月先輩は眩しげに目を細める。その視線と、的にあてなきゃいけないという緊張感。それから人生で初めての告白に、今頃になって恥ずかしさが込み上げてきた。つい俯くと、下から先輩が顔を覗き込んでくる。
「楓、なにをしてるんだ?」
「えっと、その……なんか照れくさくって。こんな夢みたいなこと、本当にあるんですね。だって、初恋が実るなんて……」
「夢じゃないぞ」
「え?」
顔を上げると、弓月先輩は右手につけていた弓を引くための革製の手袋――ゆがけの帯を外し、私に差し出した。
「俺たちの関係が変わったことを部員に知られれば、俺が楓を贔屓してるだとか、難癖をつけられる可能性があるからな。機会を見てみんなには話そう。だからそれまでは、これで俺たちが……その、恋人同士だということを思い出すといい」
「先輩……なら、私の帯は先輩に。交換こしましょう?」
私も同じようにゆがけの帯を外して、先輩に渡した。私たちはさっそく、交換した帯を自分のゆがけに付け替える。
「わあ……なんだか、先輩の特別になれた感じがします」
先輩の帯を飽きずに眺めていたら、恋人になったことをじわじわ実感した。顔が緩んでしまうのを隠せないでいると、弓月先輩は少し乱暴に私の頭を撫でる。
「こんなことで、そんなに嬉しそうな顔をするな……」
「楓のひたむきさと、折れない芯の強さから、いつの間にか。俺は目が離せなくなってた」
「うれしいです、ありがとうございます。私のことを好きになってくれて」
心から笑うと、弓月先輩は眩しげに目を細める。その視線と、的にあてなきゃいけないという緊張感。それから人生で初めての告白に、今頃になって恥ずかしさが込み上げてきた。つい俯くと、下から先輩が顔を覗き込んでくる。
「楓、なにをしてるんだ?」
「えっと、その……なんか照れくさくって。こんな夢みたいなこと、本当にあるんですね。だって、初恋が実るなんて……」
「夢じゃないぞ」
「え?」
顔を上げると、弓月先輩は右手につけていた弓を引くための革製の手袋――ゆがけの帯を外し、私に差し出した。
「俺たちの関係が変わったことを部員に知られれば、俺が楓を贔屓してるだとか、難癖をつけられる可能性があるからな。機会を見てみんなには話そう。だからそれまでは、これで俺たちが……その、恋人同士だということを思い出すといい」
「先輩……なら、私の帯は先輩に。交換こしましょう?」
私も同じようにゆがけの帯を外して、先輩に渡した。私たちはさっそく、交換した帯を自分のゆがけに付け替える。
「わあ……なんだか、先輩の特別になれた感じがします」
先輩の帯を飽きずに眺めていたら、恋人になったことをじわじわ実感した。顔が緩んでしまうのを隠せないでいると、弓月先輩は少し乱暴に私の頭を撫でる。
「こんなことで、そんなに嬉しそうな顔をするな……」


