葉山先輩は私の返事を待つことなくゴムを解いて、タオルでどんどん髪の水気をとってくれる。
「あの、なんか手馴れてませんか?」
拭き方もガシガシと乱暴にするのではなく、タオルの生地の間に挟んで髪が痛まないように押し拭きをしていた。気遣いが女の子並みなのだ。
「俺、下に二歳の双子の妹がいるんだよ。だから、世話焼いてるうちに自然と……な。三つ編みもずいぶん上達した」
「三つ編みって……ふふっ」
「今度はなんの笑いだ?」
「葉山先輩が三つ編みしてるところを想像したら、なんだか可愛くて」
「可愛いって、お前な……俺は六実より年上なんだぞ」
そんな他愛のない話をしていると、葉山先輩はご丁寧に私の髪を結うところまでしてくれた。
「キレイな黒髪だな。大事にしろよ」
「ありがとうございます、葉山先輩」
照れくささを抱きつつも、私はお礼を伝える。すると葉山先輩はすっと目線を逸らして、頬を指で掻きだす。
「いや、出過ぎた真似をしたな」
「そんなことありません。お兄ちゃんがいたら、こんななんだろうなーって、甘やかされた気分になれましたから。むしろ、ありがたいというか……」
「……六実は妹じゃないだろ」
「それは、そうなんですけど……。じゃあ、葉山先輩にとって、私ってなんですか?」
特に深い意味はなく、そう聞き返したのだけれど、葉山先輩は急に黙り込んだ。
不思議に思って、私は葉山先輩の顔をじっと見つめる。でも、葉山先輩は視線を彷徨わせて、背を向けてしまった。
「六実は……六実だろう」
「ふふっ。なんですか、それ。てっきり、後輩だって言われると思ってました」
くすくす笑いながら、私は葉山先輩の前に回り込む。
「先輩。このタオル、新しいのを買って……」
返しますね、と続くはずだった言葉を私は飲み込んだ。理由は目の前にある葉山先輩の赤い顔に、頭が混乱していたからだ。
「あの、なんか手馴れてませんか?」
拭き方もガシガシと乱暴にするのではなく、タオルの生地の間に挟んで髪が痛まないように押し拭きをしていた。気遣いが女の子並みなのだ。
「俺、下に二歳の双子の妹がいるんだよ。だから、世話焼いてるうちに自然と……な。三つ編みもずいぶん上達した」
「三つ編みって……ふふっ」
「今度はなんの笑いだ?」
「葉山先輩が三つ編みしてるところを想像したら、なんだか可愛くて」
「可愛いって、お前な……俺は六実より年上なんだぞ」
そんな他愛のない話をしていると、葉山先輩はご丁寧に私の髪を結うところまでしてくれた。
「キレイな黒髪だな。大事にしろよ」
「ありがとうございます、葉山先輩」
照れくささを抱きつつも、私はお礼を伝える。すると葉山先輩はすっと目線を逸らして、頬を指で掻きだす。
「いや、出過ぎた真似をしたな」
「そんなことありません。お兄ちゃんがいたら、こんななんだろうなーって、甘やかされた気分になれましたから。むしろ、ありがたいというか……」
「……六実は妹じゃないだろ」
「それは、そうなんですけど……。じゃあ、葉山先輩にとって、私ってなんですか?」
特に深い意味はなく、そう聞き返したのだけれど、葉山先輩は急に黙り込んだ。
不思議に思って、私は葉山先輩の顔をじっと見つめる。でも、葉山先輩は視線を彷徨わせて、背を向けてしまった。
「六実は……六実だろう」
「ふふっ。なんですか、それ。てっきり、後輩だって言われると思ってました」
くすくす笑いながら、私は葉山先輩の前に回り込む。
「先輩。このタオル、新しいのを買って……」
返しますね、と続くはずだった言葉を私は飲み込んだ。理由は目の前にある葉山先輩の赤い顔に、頭が混乱していたからだ。


