「あー……そうだな。我慢せずに、たくさん泣くといい」
あきらかに動揺している様子の葉山先輩がやんわりと私を引き寄せる。それに胸を高鳴らせたのも、つかの間――。
葉山先輩は私の背中をぽんぽんと叩いてくれたのだけれど、その手つきはぎこちなく、身体も緊張からか強張っていた。
完璧な人だと思っていた葉山先輩の不器用な慰め方に、私は思わずぷっと吹きだしてしまう。
「先輩って、女の子のこと慰めるのは下手ですね」
「笑うな」
不服そうで、それでいて少し困ったような複雑な表情。見たことのない顔ばかり見せる葉山先輩が、そっと私から離れる。
「ふふっ、すみません」
それでもなお、笑い続ける私に葉山先輩はまたため息をついた。それから、私の頭をわしゃわしゃと撫でてくる。
「まあ、涙は止まったようでなによりだ。ほら、戻るぞ」
「はい」
私は傘を差してくれる葉山先輩と一緒に射場に戻ると、濡れた身体を拭くために棚からカバンを取ろうとした。そのとき、頭になにかが被せられる。
「わっ、なに!?」
驚いて頭に乗っているなにかを取り払うと、それは紺色のタオルだった。後ろを振り返れば、葉山先輩が私の持っているのと同じ色のタオルで首筋の汗を拭っている。
「それ、洗い立てだから」
「でもっ、葉山先輩のですし……」
先輩のタオルで身体を拭くなんて、図々しいうえに申し訳ないというか……。洗って返すというより、新しいのを買い直して返さないと。
そんなことを考えていると、葉山先輩はしびれを切らしたように私のところへやってくる。
「貸せ、そのままじゃ風邪をひく」
私の手からタオルを奪い取って、代わりに髪を拭いてくれる葉山先輩に一瞬だけ思考が停止した。
どうして、こういう展開に!? 恥ずかしさの波がじわじわと押し寄せてきて、私はうつむく。
「大事な試合の前に倒れたらどうする。髪、解くからな」
あきらかに動揺している様子の葉山先輩がやんわりと私を引き寄せる。それに胸を高鳴らせたのも、つかの間――。
葉山先輩は私の背中をぽんぽんと叩いてくれたのだけれど、その手つきはぎこちなく、身体も緊張からか強張っていた。
完璧な人だと思っていた葉山先輩の不器用な慰め方に、私は思わずぷっと吹きだしてしまう。
「先輩って、女の子のこと慰めるのは下手ですね」
「笑うな」
不服そうで、それでいて少し困ったような複雑な表情。見たことのない顔ばかり見せる葉山先輩が、そっと私から離れる。
「ふふっ、すみません」
それでもなお、笑い続ける私に葉山先輩はまたため息をついた。それから、私の頭をわしゃわしゃと撫でてくる。
「まあ、涙は止まったようでなによりだ。ほら、戻るぞ」
「はい」
私は傘を差してくれる葉山先輩と一緒に射場に戻ると、濡れた身体を拭くために棚からカバンを取ろうとした。そのとき、頭になにかが被せられる。
「わっ、なに!?」
驚いて頭に乗っているなにかを取り払うと、それは紺色のタオルだった。後ろを振り返れば、葉山先輩が私の持っているのと同じ色のタオルで首筋の汗を拭っている。
「それ、洗い立てだから」
「でもっ、葉山先輩のですし……」
先輩のタオルで身体を拭くなんて、図々しいうえに申し訳ないというか……。洗って返すというより、新しいのを買い直して返さないと。
そんなことを考えていると、葉山先輩はしびれを切らしたように私のところへやってくる。
「貸せ、そのままじゃ風邪をひく」
私の手からタオルを奪い取って、代わりに髪を拭いてくれる葉山先輩に一瞬だけ思考が停止した。
どうして、こういう展開に!? 恥ずかしさの波がじわじわと押し寄せてきて、私はうつむく。
「大事な試合の前に倒れたらどうする。髪、解くからな」


