そっか、アイスクリームって言うことに集中してたから、放したいって気持ちを紛らわせられたんだ。だから、最近感じてた焦燥感もなく、自然と弦を離せた。
「ありがとうございます……先輩。今の的中の感覚、忘れませんっ」
最近、涙もろくなってしまって困る。私はじわっと潤みだした目を伏せて、泣いているのを悟られないように弓道場の出口に向かった。
「矢、回収してきます」
それだけ声をかけて、私は降りしきる雨の中、矢取り道を通って的場に行く。
背中から葉山先輩の「傘、忘れてるぞ!」という声が飛んできたけれど、聞こえないふりをして、私は的や安土から矢を抜いて集めた。
ふたりぶんの矢を脇に抱えて、取り残しがないことを確認した私は射場に戻ろうと振り返った。そのとき――。
「こんな大雨の中、いくら近いからって傘を差さなかったらびしょ濡れになるぞ」
走ってきてくれたのか、息を切らしながら私に傘を傾けてくれる葉山先輩の顔を見た瞬間、堪えていた涙がぽろっとこぼれる。
「六実? お前……」
顔をくしゃくしゃにして泣いている私に、葉山先輩が息を呑んだのがわかった。
私は手の甲でごしごしと涙を拭いながら、なんとか笑う。
「悲しいとか、そういうんじゃなくて……。最近、うまくいかないことばっかりだったから、ひとつでもうまくいったことがあると、泣きたくなるくらいうれしいっていうか……。大げさで、すみません」
ぺこぺこと頭を下げていると、葉山先輩はため息をつく。顔を上げると、葉山先輩は苦笑いしながら、私に手を伸ばしてきた。
「え……」
驚きながら、その手を視線で追っていると、葉山先輩は私の目尻にたまった涙を親指の腹で拭ってくれた。
「六実はスランプなんだ。気持ちの浮き沈みがあっても、なんらおかしくない」
泣いてもいいのだと言われているようで、私は余計に涙を止められなくなった。
「ありがとうございます……先輩。今の的中の感覚、忘れませんっ」
最近、涙もろくなってしまって困る。私はじわっと潤みだした目を伏せて、泣いているのを悟られないように弓道場の出口に向かった。
「矢、回収してきます」
それだけ声をかけて、私は降りしきる雨の中、矢取り道を通って的場に行く。
背中から葉山先輩の「傘、忘れてるぞ!」という声が飛んできたけれど、聞こえないふりをして、私は的や安土から矢を抜いて集めた。
ふたりぶんの矢を脇に抱えて、取り残しがないことを確認した私は射場に戻ろうと振り返った。そのとき――。
「こんな大雨の中、いくら近いからって傘を差さなかったらびしょ濡れになるぞ」
走ってきてくれたのか、息を切らしながら私に傘を傾けてくれる葉山先輩の顔を見た瞬間、堪えていた涙がぽろっとこぼれる。
「六実? お前……」
顔をくしゃくしゃにして泣いている私に、葉山先輩が息を呑んだのがわかった。
私は手の甲でごしごしと涙を拭いながら、なんとか笑う。
「悲しいとか、そういうんじゃなくて……。最近、うまくいかないことばっかりだったから、ひとつでもうまくいったことがあると、泣きたくなるくらいうれしいっていうか……。大げさで、すみません」
ぺこぺこと頭を下げていると、葉山先輩はため息をつく。顔を上げると、葉山先輩は苦笑いしながら、私に手を伸ばしてきた。
「え……」
驚きながら、その手を視線で追っていると、葉山先輩は私の目尻にたまった涙を親指の腹で拭ってくれた。
「六実はスランプなんだ。気持ちの浮き沈みがあっても、なんらおかしくない」
泣いてもいいのだと言われているようで、私は余計に涙を止められなくなった。


