エルザは警戒する冒険者達を無視して、サーシャのいるカウンターの前に立つ。箱に入ったポーションを目算した。数は50個といったところだった。
エルザは50個全てを買い取ろうと初めは考えたが、その考えをすぐに改める。後ろの視線が痛い事もあったが、冒険者達にとって必需品であるポーションを買い占めてしまう事に少し躊躇してのことだった。ポーションを一つで救われる命がある。買い占めたことにより、命を落とす冒険者が現れたら寝覚めが悪い。何よりもそれで、逆恨みを買うのは馬鹿らしい。
「5、いや10個もらおうかな」
エルザのパーティーは4人、一人に二個渡して残りは予備として持っておこうと考えた結果の数だった。
サーシャは言われた数のポーションをテーブルに置く。