アリシアが造るポーションは冒険者にとって喉から手が出るほどに欲しい物だった。薬草と違いたちまちに傷口を塞ぎ痛みを無くす魔法の水。アリシアの魔法の一欠けら。奇跡の水。冒険者達の必需品。

本当は我先にと欲しい代物だったが悪口を言った手前、冒険者達は互いに見張り合い牽制していたのだった。所が後に入ってきたエルザが入口でポーションの事を口にしたのだから冒険者達は焦りを感じていた。席を立ってカウンターにいくべきか、それとも売れ残った物を買うべきか、そもそも売れ残るのだろうか。などといった感情がギルド会館を渦巻いている。

こうなる事はサーシャには手にとるように予想されていた。サーシャはわざとポーションをエルザに見せたのだった。アリシアに悪態をついた冒険者達に少しの報復をするために。そしていい気見だと心の中で呟いた。