ディアルは優れた戦士だった。短く切った髪を逆立てきりっとした細く長い瞳、左の瞳に泣きほくろが特徴としてあり、長身だった。ドラグニールの青龍騎士団に所属しており、騎士団随一の槍使いでもあり、女性を虜にしてしまうほどの美形だった。ある時、ディアルが娼婦と一夜を共にした時の事である。
「お前は娼婦にしておくのは惜しいな」
娼婦の女は聞きなれた台詞に飽き飽きして、ディアルに対して聖女の話しを語る。
「ねえ、ディアル、湖の畔に暮らしている聖女の話しを知っている?」
聖女と聞いてディアルはベッドから上体を起こした。
「聞いたことがない、聖女と言うことは修道女なのか?」
娼婦の女は首をふる。
「違うわ、何でもこの世でただ一人、光属性の持ち主でどんな傷口も一瞬で治してしまうそうよ」
「ほう、それはまた珍しい」
娼婦の女はディアルの裸の胸板を指でなぞる。