君が可愛すぎるから(野いちごジュニア文庫版)




すると、すぐに話そうとはせず、少し黙り込んだ。


かと思えば、一度深呼吸をして、静かな声で言った。



「今から話すのは……俺の好きな子の話」



いきなりそう言われ、突然なんでそんな話をわたしにするんだろうと思うし、話してどうするつもりなんだろう。


ただ、わかるのは、あまり聞きたくないことには違いない。



「その子は、いつも明るくて素直で。放っておけない可愛さがあって。毎朝、俺におはようって笑いかけてくれる子で。とにかく、その子のぜんぶが愛おしく感じるくらい好きなんだよね」



 わたしは、いったい何を聞かされているんだろう……。


耳を塞ぎたくなってしまう。



目の前にいる自分の好きな人が、自分じゃない人を想って、愛おしそうに話すのを聞くなんて、苦しくて仕方ない。


こんなにも凪くんに想われているなんて。



羨ましい気持ちが胸の中を支配していく。