君が可愛すぎるから(野いちごジュニア文庫版)




そして、掴んだ手を自分のほうに引いて、わたしを抱きしめた。



急なことに何事だろうとあわてる気持ちと、抱きしめる寸前、凪くんの身体がぐらついて、大丈夫なんだろうかって心配する気持ちがある。



「な、凪くん……?急に立ち上がって平気……?」


平静を装って気使う言葉をかけると、さらに強く抱きしめられた。



「……大丈夫じゃない」


「じゃ、じゃあ寝てないと……」


「……やだよ。離したら心結は俺から逃げるでしょ?」



凪くんの言うとおり……。

今、離されたら、わたしは逃げ出していると思う。


図星を突かれた言葉に何も返せずに黙っていると、凪くんがゆっくり口を開いた。



「心結に、このまま聞いてほしいことがあるから、聞いてくれる?」


いったい何を聞かされるんだろうと、不安の気持ちが大きいけれど、凪くんの腕の中でコクリとうなずいた。