あぁ……そうだ。
忘れちゃいけない。
わかっていたことなのに。
……凪くんには若菜ちゃんがいるってことを。
さっきまで、しゃぼん玉のようにふわふわしていた気持ちは、この瞬間パチッとはじけて消えてしまった。
「あれ、もしかしてお邪魔だった?」
若菜ちゃんがひょこっとわたしの顔を覗き込んできた。
暗くても、間近で見えた若菜ちゃんは、わたしなんかと比べ物にならないくらい可愛い。
ドッと虚しさに襲われた。
きっと、凪くんの胸の中にいる子は、今も昔も変わらず若菜ちゃんだけなんだ……。
「あ、そうだ。ちょうど花火終わったし、よかったら一緒に帰らない?」
提案に乗ることができなかったわたしは、何も言わずその場から走り出した。

