君が可愛すぎるから(野いちごジュニア文庫版)




おそらく、ラストの花火だった。


さっきまで騒がしかった空間が、花火の音がなくなったことで、一気にシーンと静まり返る。



わたしは凪くんの腕の中で抱きしめられたまま動けずにいた。



頭の中では、どうして抱きしめられているのかわからず、軽くパニックを起こしている。


そんなわたしに凪くんは、さらに追い討ちをかけるような質問をしてくる。



「有栖ちゃんはさ……好きな人いるの?」


心臓がドクッと一度大きく跳ねた。


「どう、して……?」


「気になるから」


「っ……」



ここで、素直に凪くんだって伝えることができたらいいのに……。


臆病なわたしには到底無理な話だ。


それに、この恋はわたしの完全な片想いで終わるはずだから。



だって、凪くんの好きな子は――。