君が可愛すぎるから(野いちごジュニア文庫版)




学校の最寄り駅に着くまであと三駅。



「凪おはよー」


電車が停まり、凪くんの友達でありクラスメイトでもある木下千瑛くんが乗ってきた。


眠そうにあくびをしながら、わたしたちのそばまでやってくる。



これで凪くんと二人っきりの時間は終わってしまった。



あぁ……今日もたいした会話ができなかったなぁ……と内心残念に思うけれど、それを顔に出さないよう我慢する。



毎日、今日は凪くんとたくさん話すんだって気合いだけは充分あるくせに、結局いつも緊張して実行できなくて、後悔する……そんな繰り返し。



「あ、心結ちゃんもおはよー」


「お、おはよう」


凪くんの隣に立っているわたしにも挨拶をしてくれる気さくな性格の木下くん。


再び電車が動き出してからは、凪くんと木下くんの会話をただ隣で聞くだけ。