君が可愛すぎるから(野いちごジュニア文庫版)




「有栖ちゃん小さいから歩幅も俺と全然違うよね」


「あ、ごめんね」


「なんで謝るの?悪いことしてないのに」



「だ、だって、わたしの歩くペースに合わせるの大変でしょ……?」


「んー、別に大変じゃないよ。ってか、そんなこと気にしなくていいから。有栖ちゃんは気使い過ぎなんだよ」


「そ、そうかな」


「俺の前では気使わないでいいよ」


「でも、迷惑じゃ……」



「だからー、迷惑じゃないって。もっとわがまま言ってほしいくらいなのに」



凪くんはたまに、自然と胸をキュンとさせるようなことをさらっと言うから、こちら側はその不意打ちにドキッとさせられてばかり。



「凪くんは優しいね」


「……別に誰にでも優しいわけじゃないよ」


「え……?」



「有栖ちゃんだから優しくしたいんだよ」


「っ……!」



真夏の暑さのせいにしたいくらい、今の凪くんのひとことでわたしの体温は一気に上がっていった。