「で、何が楽しみなの?」
上から降ってくる凪くんの声は、いつもと違って少しだけイジワルな気がする。
たぶんだけど、今の凪くんは楽しそうに笑っていると思う。
「ねぇ……教えてよ、有栖ちゃん」
「っ……!」
そのまま、凪くんの大きな手がわたしの頬にそっと添えられた。
その瞬間、前に触れられた時の記憶がよみがえってくる。
やっぱり、あの出来事は夢でなかったと錯覚させられるくらい、触れられた感覚が同じだった。
「教えてくれない?」
「……な、凪くんには内緒……なの」
まさか凪くんと一緒にいられることが楽しみだなんて、口が裂けても言えない。

