君が可愛すぎるから(野いちごジュニア文庫版)




浮かれた気分のまま家を出て学校に向かい、教室に着いたのは午前九時四十五分。



誰もいない教室は閉めきられていたせいで、蒸し暑い。

すぐに窓を全開にして、教室に風を通す。


窓から入ってくる心地いい風が、カーテンを揺らした。


「楽しみだなぁ……」



窓のそばに立って外を見ながら、自然と口元が緩んでしまう。


勉強は嫌いだけど、凪くんと一緒だったら頑張れる気がするから。


わたしって本当に単純だな……って思っていると……。



「何が楽しみなの?」



背後から突然聞こえた声にびっくりして、あわてて後ろを振り返ると、凪くんがいた。


「い、いたの……!?」


「うん。今来たところ」


ひぇぇ……。
今のひとりごと聞かれてたってことだよね?


途端に恥ずかしくなって、思わず下を向いてしまった。