君が可愛すぎるから(野いちごジュニア文庫版)




そして、駅のホームにアナウンスが流れて、電車が到着した。


プシューッと扉が開く音がして、前に並んでいた人たちが、電車の中に吸い込まれるように流れていく。


わたしも、その波に流されるように電車の中に乗り込んだ。



朝のこの時間は、通勤通学ラッシュの人たちでごった返している。


わたしは周りの人に比べて身体が小さい。


そのせいで満員電車に乗ると、いつも人と人の間に挟まれて、身動きが全く取れなくなってしまう。


そのまま電車の扉が閉まり、発車のアナウンスが流れた。


本当なら、あと数本電車を遅らせて、混み具合が落ち着いてからでも充分学校には間に合うんだけれど……。


この時間の、この車両に乗るには理由があったりする。



突然、右腕を誰かにグイッと掴まれて、少し強引に身体ごと腕を掴んできた人のほうへ引き寄せられた。