だけど、会話はどうしても耳に入ってきてしまう。
「もう、どこ行ってたの!探してたのに」
「どこって、お昼食べに食堂に行ってたんだけど」
「さっきメッセージも送ったのに返信してくれないし」
「あー、気づかなかった。んで、なんか用?」
「冷たいなぁ。もう少し優しくしてくれてもいいのに!」
さっきそらしたはずの視線は気づいたらまた二人を追っていて、若菜ちゃんが頬を膨らまして凪くんのほうを見ているのをとらえた。
あんな可愛い表情が自然とできてしまうのが羨ましい。
勝ち目がないとはっきり実感させられたようだった。
「若菜は余計なこと話しすぎ。早く用件言って」
「むっ……。次の英語授業で辞書使うんだけど、忘れたから貸してほしいの」
「あー、またいつもの忘れ物ね」
凪くんは呆れた素振りを見せながらも、若菜ちゃんに何かあるたびに必ず助けてあげている。

