「そういえば春乃さんと正幸さんは?」
「お母さんはいまお風呂で、お父さんはきっとお店のほうにいるよ」
「そうなんだね。あー、ゆきちゃんの部屋でふたりきりってドキドキするね」
そんなこと言われたらわたしももっとドキドキしてしまう。
今日は心臓がどきどきしっぱなしだ。
片手でお盆を持ち直してわたしの部屋のドアを開ける。
「狭いですけどどうぞ」
「わーい。ゆきちゃんの部屋だ!」
いつもと変わらない感じの空野さんは、わたしの部屋に入り周りをぐるっと見回す。
恥ずかしすぎる……。
それに、あまり聞かれたくないからってわたしの部屋にしたけど、ふたりきりってどうなんだろう。
心臓がドキドキどころかバクバクしてきて、口から飛び出そうだ。
「あ、あんまり見ないでください。はい、座ってください」
ローテーブルにコーヒーとクッキーを置いてから、クッションをその前に置く。
空野さんはわたしの言葉にすんなり座ってくれたけど、まだキョロキョロと周りを見ている。
「綺麗にしてるね。ピンクと白でかわいい部屋だ」
「見ないでくださいってば」
正面も隣も恥ずかしいから斜め横に座った。
空野さんは「ありがとう。いただきます」と言ってからコーヒーに口をつける。



