「ゆきちゃんってちょっとSっぽいとこあるよね。そんなところがまたかわいいけど」

「えっと……どうゆう意味でしょうか?」

「ほら、前おれが誤字したときに真似してきたじゃん?そうゆうのとか」

「それはなんだかかわいいなって思ってですけど……いやでした?」

「いやじゃないよ。ふたりだけの合言葉みたいだったし、むしろうれしいくらい。けど、ゆきちゃんもそんなことするんだなってびっくりした」



今日も空野さんが来てくれてカウンター越しにお話をする。


来ない日ももちろんあるけど、週に4〜5回は来てくれてるから多すぎるほど。


だから、空野さんとは随分気楽にお話できる間柄になった。




「空野さんにいい意味で慣れたんですかね?緊張せずにただただ楽しくて、わたしも素を出しちゃってます」



お客様だから程よく距離感も大切にしたほうがいいんだろうけど、空野さんにはもっと近い関係でいたいと思ってしまう。