「ほんとは3階席に行く予定なかったんだ。曲の尺と移動の問題があって。でも、時間ぜんぶ使って2階席も3階席も行っちゃった」
「え、大丈夫なんですか?」
「海成には怒られたけど、元々ファンの子みんなに会いに行きたかったから3階席に行けないのいやだったしいいんだよ」
いたずらに笑う颯くん。
すごいなぁ。
なんか感動させられっぱなしだ。
「これも。彼女がライブに来てくれるって不思議な感じでうれしかったけどね」
わたしの首元に光るネックレスに指で触れる。
夢と現実が交じり合う不思議な空間だった。
ソラくんのファンであり、颯くんの彼女でもあって、わたしも不思議な感じだったよ。
「雪乃がかわいすぎて、雪乃ばっかり見ちゃった」
「わたしも、颯くんから目が離せなかった」
「当然だよ。じゃないと困る」
ライブ終わってすぐに会うのも不思議な感じだ。
さっきまではみんなのソラくんだったのに、いまはわたしだけの颯くん。
「……今日、合鍵使っていいですか?」
みんなのソラくん。
だけど、わたしの颯くん。
わたしだけの特別。



