「ふはっ。ダセェ顔してんな」

「うるさい」

「じゃあ、また来るよ。雪乃の友達として、このカフェの客として」

「うん」

「ソラの顔見たくないから、もう帰るわ」



凌馬くんは立ち上がって、わたしの頭を撫でてから店を出て行った。

その瞬間後ろから抱き締められる。




「……雪乃」

「はい……」

「おれのことすきって言ってくれたのうれしい」

「だって、すきだもん……」

「それ、おれの顔見てもっかい言って?」

「……恥ずかしいです」



そう言ったのに、颯くんのほうを向かせられる。

恥ずかしすぎる。


めちゃめちゃ恥ずかしい。




「……颯くんがだいすき」


だけど、言いたくなった。

きっと真っ赤だ。



「おれも、雪乃がだいすき」



言ったあとにちゅっと音を立ててキスをされる。

その音が恥ずかしくて、また熱くなる。


目が合って、ふたり微笑んだ。



こんなに幸せな気持ちになれるのは、心があったかくなるのは、ドキドキするのは、すきだと感じるのはただひとり。



颯くんだけだ。