「颯くん……っ、」
助手席に座ると、ダムが決壊したかのように涙があふれる。
止まらない。
いろんな感情が込み上げてくる。
「うん、しんどかったね。怖かったね。がんばったね」
優しい声に余計に涙があふれる。
俯いているわたしの顔を颯くんのほうに向けさせ、頬を両手で包み込んでくれる。
その大きくあたたかい手をわたしの涙で濡らしていく。
「お店、ちょっと遅れても大丈夫?」
「っ……」
「って、もう春乃さんに許可もらってきたけど」
にこっと微笑む颯くんはすごく優しい笑顔で、胸がじんわりとする。
わたしの頭を撫でてから、シートベルトをつけてくれて車を走らせた。
そして颯くんのマンションに行き、部屋に通された。
リビングのソファに颯くんが座り、足を交差させるように横向きに座らされた。
もう涙は落ち着いた。
車に揺られているうちに気持ちも整えたから、いまのこの格好は恥ずかしい。
だから、顔を見られないように颯くんに抱きつく。



