厨房を通っているとお父さんに声をかけられる。
けっこう失礼なセリフだった。
それをお母さんがすぐさまふくれっ面で突っ込む。
「もちろん雪乃はかわいいよ。でも、顔が疲れてるだろ」
「じゃあはじめからそう言ってよ。顔悪いなんてひどいわねぇ、ゆきちゃん」
「あ、うん。たしかにちょっと疲れてるかも」
「無理せず、休みたかったら休んでいいから」
「そうね。テストも近いし」
「ありがとう」
ふたりにお礼を言ってから定位置に着く。
まだお客様はいないからゆっくりできる。
あんまり考えないようにしよう。
軽く掃除をしたり、カウンターのところを整理したりとゆったりと作業をする。
お客様が来たら対応して、いつものように仕事をこなす。
「来たぞ」
「いらっしゃいませ」
ドアを開けて堂々としている凌馬くんが今日も来てくれる。
すっかり常連だ。
そして今日はなんだか機嫌がいいのかニコニコしている。



