無言。

お互いに一言も話さないけど、きっと同じことを考えている。


車のエンジン音やウインカーの音だけが響く。

それを繰り返し、ゆきちゃんの家に着いた。


タクシー代を支払い、ゆきちゃんと一緒に降りる。



家のほうの玄関から入り、帰ってきたこととおれが来たことを春乃さんに知らせる。

軽く挨拶だけして、すぐにゆきちゃんの部屋に入った。




「…………」

「…………」



沈黙が流れる。

なにから話せばいいのか。


聞きたいことはたくさんある。

言いたいこともたくさんある。


でも、まずは状況を整理するのが先かな。




「……順を追って話そうか」



口を開いたおれに、なぜか正座で向かい合っているゆきちゃんがビクッと肩を揺らした。


ゆきちゃんはなにを考えてる?