「……いまからゆきちゃんの部屋行っていい?」

「……はい」



久しぶりに会えた颯くんにドキドキしないわけがない。

ずっとドキドキしている。



タクシーを呼び、待っている間微妙な距離感。


外だから近づくわけにはいかない。

触れるわけにいかない。



ふたりの間の30センチがもどかしい。



あと5センチ。
5センチでいいから、近づいていいかな……?


そう思ったとき。




「雪乃」


名前を呼ばれて振り返る。

この声は颯くんじゃない。



お店の明かりで逆光になっているけど、その人物が凌馬くんだということは声だけでわかった。




「凌馬くん、どうした……」


「好きだ」


「え……」

「は?」



目の前まで来ると、直球に落とされた言葉。

わたしはもちろん隣にいた颯くんも驚いたように声を漏らす。





「雪乃が好きだ」



颯くんがいるのもおかまいなしで、わたしから目を逸らさずに真っ直ぐに伝えられた。


好き……?

凌馬くんが……わたしを……?