『藍原くんとばっかり仲良くしてたら妬くからね』


颯くんにそう言われたんだけど……。




「雪乃、またたくさん注文していい?」

「いつ?お父さんに確認しとくね」

「さんきゅ。こまかいことはメッセージ送る」

「うん」

「あ、雪乃」

「はい」



凌馬くんから離れようとすると、不意に手をつかまれる。

驚いて凌馬くんを見ると、にこっと微笑まれた。



「前髪はねてる」

「えっ?」



空いている手で前髪を押さえる。

だけど、凌馬くんの手によってその手をとられ、前髪に優しく触れる。


撫でるようにして、前髪を整えてくれた。




「これでよし。すごいドジっ子感でてた」

「それは恥ずかしいなぁ」

「……かわいいけどな」

「え?なにか言った?」

「な、なんでもねぇよ!」



わたしからパッと手を離して顔を背ける凌馬くん。

……本当は聞こえてたよ。