「ゆきちゃん!」
数コールで出てくれたゆきちゃんに、なんだかホッとして名前を呼ぶ。
『颯くん、いま見てました。だから、すぐに電話なんてびっくり。大丈夫なんですか?』
「平気!ゆきちゃんの声が聞きたくて」
『わたしも、なんだか様子がいつもと違う気がして気になってました』
さすがゆきちゃんだ。
ゆきちゃんにはすぐに気づかれてしまう。
プロとしてそれはどうなんだ、とも思うけどゆきちゃんに気づいてもらえることはうれしい。
実際、マネージャーや海成は気づかないおれの少しの心の機微にゆきちゃんは気づくんだ。
ゆきちゃんはすごい。おれのこといつも見てくれてるって実感がわく。
「うん。ちょっとね、気になることがあって」
『気になること……?』
「ゆきちゃんさ、藍原くんと知り合いだったり……しない?」
考えすぎでありますように。
けど、嫌な予感がしているのもたしかで。
胸がざわついている。



