全身真っ黒の服でわたしより身長は高い男の人。
知っている人ではない。
顔も深くフードをかぶっていて見えない。
ザ・怪しい人!という感じ。
「ここってどこだ?」
「……へ?」
「俺はこの場所に行きたいんだけど、知ってるか?」
ポケットからスマホを取り出して写真を見せられる。
この場所は景色がきれいで、でも人は少ないという広場。
穴場スポットだ。
道が入り組んでいることもあり、知る人ぞ知るという場所。
わたしは小さい頃によくお父さんとお母さんとそこへ行き、ピクニックをした。
「花日ケ浦で調べれば行けますよ」
「ハナヒガウラ……?」
「ここの広場の名前です」
目の前の人がそこでやっとマップを開く。
あの写真を頼りに目的地に行こうとしていたのかな?
なかなか目的地の写真だけじゃ、道順はわからないよ。
「それでは……」
軽く頭を下げて帰ろうとすると、わたしの後ろについてくる彼。



