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学校から家に帰る。
今日はお店は定休日だから、録画していた颯くんが出ている番組でも見ようかな。
そう思っていたのに、お遣いを頼まれてしまった。
常連の田中さんのお孫さんが家に来るからぜひうちのお菓子を食べさせてやりたいと。
常連さんでお世話になっているし、それくらいならとお父さんが快諾したみたいでケーキを作り、それをわたしに届けてほしいと。
お父さんもお母さんも仕入れのことで大変そうだったから、服を着替えてわたしが田中さんの家に向かった。
無事ケーキを届けて、かわいいお孫さんを見ることもできてとても癒された。
ほんわかした気持ちで家路についていると、いきなり肩を掴まれた。
ビクッとして勢いよく振り返る。
けど、肩から手を離してくれない。
「あ、あの……」
「おい」
「はい!」
低く少し怒ったような声にびっくりして、集団行動でするような返事をしてしまった。
だって、怖いもん……。



