超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。





『年末に向かって忙しいからさ、なかなか会う時間つくれてないけど会いに行くよ。けど、それこそ年末に向かって記者とかに狙われやすいから気をつけないと』

「そうですよね。わたしも調べてて年末はよくそういうニュースが出るって勉強しました」

『勉強熱心だね』



颯くんの笑い声が電話越しに聞こえる。

だって、芸能人と付き合うってわからないから。
しかもいまがいちばん大事な時期の颯くんだから、わたしのせいでその大事な時期を潰さないために、気を引き締めなきゃいけないと思って……。




『だから外では会えないかな。ごめんね』

「全然、少し顔が見られるだけでも十分です。道ですれ違うとかでも」

『おれはそれじゃ満足できないけどね。会ってゆきちゃんをぎゅーってして、いっぱいちゅーしてイチャイチャして……』

「と、とにかくわたしは大丈夫です。モデルさんとのことモヤッとしたけど、颯くんがこうして連絡くれて安心させてくれてうれしかった」




反応に困っちゃうから颯くんの言葉を遮って、話を無理やり本題に戻す。

颯くんは不服そうな声を出しながらも、返事をしてくれた。