見ている人は勝手にイメージをつくり、膨らませ、都合のいいような人物像をつくり、それから外れると手のひらを反す。
芸能人だけでなく、人間ってきっとそう。
『ゆきちゃん見たらいやな気持ちになるかもしれないから、電話でちゃんと否定しとこうと思って。ドラマのメンバーでご飯に行ったことはあるけどそれだけで、連絡先も交換してないよ』
「はい」
『信じてくれる……?』
「もちろんです。わたしは颯くんを信じてますから」
『うん。すきなのはゆきちゃんだけだよ』
あ、照れる。
こうして当然のように言葉にされると、わたしのほうが照れてしまう。
片手でパタパタと顔をあおいで風を送る。
「わたしも颯くんがすきです」
『あー幸せ。電話してたらゆきちゃんに会いたくなる』
「わたしも会いたいです」
もう素直に言葉にする。
電話こそ、会えないからこそ、素直に言葉にしないと伝わらないから。



