「元々、帰す気なかったよ」
舌をべっと出していたずらに笑う颯くん。
わたしはぜったい真っ赤だ。
「春乃さんと正幸さんに、お泊まりする許可もらいに行こ」
颯くんにはわたしの気持ちなんてお見通しだったんだ。
だけど、あえてわたしに言わせたんだ。
ちょっぴりいじわる。
でも、わたしがわがまま言いやすいようにしてくれたからやっぱり優しい。
「はい」
颯くんと一緒に車を降りて、お店のほうに行く。
幸いいまはお客様はだれもいなかった。
「ゆきちゃん、おかえり。空野くんも、久しぶりね。相変わらずかっこいいわね」
「春乃さんもいつもおきれいで」
「まぁ……」
ぽっとなるお母さん。
気持ちはわかるけど、ちょっと嫉妬しちゃう……。
「お母さん、あのね、今日お泊まりしてもいいかな!?」
わたしの大きな声に驚いたように目を見開いた。
そりゃいきなり驚くよね。
あと、颯くんと付き合っていることは言っていない。
アイドルとわかったときに、颯くんはアイドルだと説明はしたけどそれだけだ。
今日もだれと遊びに行くかは言っていなかった。
だから、お母さんはいま知ったに違いない。



