超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。





「……慣れてますね?」

「ううん。役でしかしたことないよ。だからおれとキスするのはゆきちゃんが初めてだよ」




胸がキリッと痛んだ。

役とはいえ、体は颯くんだ。


そっか。
役でキスシーンとかあるよね。

これからもきっとある。

わたし以外の人とするのを見ることになるんだ。




「……役でも嫉妬します。でも、応援します」



颯くんを抱き締め返す。

付き合ってるのにほかの人とキスをするなんて、普通じゃ浮気だけど芸能人なら仕方がない。


それも覚悟の上で付き合っていかなければいけない。




「ゆきちゃんが嫉妬してくれるのはうれしいよ。けど、いやな思いにさせるのはごめんね」

「……事前に教えてもらえれば覚悟します。あと、役でした倍以上、わたしにもしてくれたらうれしいです」

「わかった。……で、さっそくで申し訳ないけど10月のドラマの最終回にキスシーンある……」



苦笑交じりの颯くん。

仕方がないのはわかっているけど、やっぱりモヤっとする。