呼び方に対して特にこだわりもないと思っていた。
でも呼び方ひとつで、こんなにもドキドキして恥ずかしくなって胸が熱くなる。
そんなの、きっと、颯くんだけだ。
「キス、しよっか」
「さっきもしましたよ?」
「足りないじゃん。もっとしたいじゃん」
「付き合ったばかりです」
「おれはずっとしたかったの。我慢してたの」
「……おかしくなっちゃいそう」
「おかしくなってよ。おれでいっぱいにしたい」
妖艶に笑った颯くんはわたしを椅子に座らせると、覆いかぶさるようにキスをした。
触れるだけのキスだったのが、吸うようなキスに変わる。
恥ずかしくて顎を引くも、逃がしてくれない。
慣れていないのに何度も繰り返されるキスに頭がぼーっとしてくる。
「ゆきちゃんかわいい」
くてっと颯くんにもたれかかるわたしをぎゅっと優しく抱きしめてくれる。
颯くんはすごく余裕だ。



