さっきまではコーヒーを口につけ、まったりしていると思っていたけれど。



「な、なんだよ」

「店員さんに対しての言い方とかひどすぎ。もっと丁寧に」

「それは雪乃だから言ってんの?」

「それもだめ!ゆきちゃんのこと名前で呼ぶの禁止」

「お前なぁ……」

「おれの彼女だもん」



唇を尖らせながらむすっとした表情で言う空野さんにドキッとする。



彼女……。

わたし、空野さんの彼女になったんだよね……。


改めて言葉にされると照れてしまい顔が熱くなる。




「あと今日はなんのために来たの?」

「あ、わたしも気になってました。ふたりそろって用事でした?」



今日は空野さんから閉店後になっちゃうけど、海成くんとふたりでお店に行っていいかの確認があった。


むしろわたしも閉店後のほうがほかのお客様に見られることもなく安心できるし、なにより空野さんに会いたかったからふたつ返事で了承した。